コーナー なんでもいいよこの際!


第一回


不条理の恐怖


怖ろしいですよ〜、ゾクゾクきますよ〜。
今回はこんな人のお話。



この人形作った人すごすぎですよね。あり得ないっすよこの顔。

出展は、こちらです。



ウルトラシリーズ7作目の『ウルトラマンレオ』なんですが、この作品はオイルショックの直後作られたこともあって、ちょっと恵まれない環境の中作られました。
なので基本的に光線出して大爆発!みたいな演出がちょっとキツく、たいてい肉弾戦です。同じ頃ブルース・リーが話題になりカンフーブームだったので、このウルトラマンはスポ魂路線なのです。

そんな『ウルトラマンレオ』より、第26話「ウルトラマンキング 対 魔法使い」に出てくる、
怪獣人プレッシャーについてです。


まず初登場シーンでゾゾゾッ。



すごいっしょ?なんか知らないけどすごいっしょ?

まず彼には、目的が見えないんです。
何のために地球にやってきて、何がしたいのかさっぱりわからないんです。
いや、その前に宇宙人なのかもわからない。とりあえずみなさんが、「星人よ!」と言っているので宇宙人なんでしょうが。

あ、この作品では基本的に宇宙人のことを「星人」と呼んでいます。
厳密な定義はわかりませんが、この作品には地球侵略とかいう目的を持たず、通り魔的に人を殺す宇宙人がやたら多いんです。そういう通り魔宇宙人を「星人」と呼ぶのだと解釈しています。

で、まずMAC(宇宙人と戦う組織。よわっちい)のお姉さんが、「東京103地区に星人出現!全隊員東京103地区に出動せよ」と言って、プレッシャーがわけもなく追いかけられます。
この段階では彼はなーんにもしてません。こう書くと、プレッシャーは宇宙人という理由だけで攻撃されるカワイソウな宇宙人みたいな印象を受けますが、違います。根拠はないけどコイツは悪者なんです。そうでないと話が進まないんです。



みんなで追いかけます。大した理由もなく。上がプレッシャー。下がMAC隊員。

でもこれだけでもかなり怖くないですか?
週に一回、人間サイズの宇宙人が目的もなく走り回るんですよ。
しかもこのプレッシャーの場合、なんと笑いながら走るんですよ。
日常においてさえ、理由もなく笑う人って怖いじゃないですか。それが宇宙人。
昼夜関係なく走り回るわけですから、一目見たらもう外を出歩けなくなりますね。



ヤバくなってきたプレッシャーは、なんと民家に押し入ります。
彼は魔法使いです。カギかけてようがバリケード張ってようがどうってことないんですよ。怖すぎます。



家の住人を人質にするプレッシャー。
この人の意図が何もわからないだけに一層怖いです。
要求も何も言わずに笑いながら宇宙人がやってきて、追いかけてくるんです。しかもこのツラです。すごいよ美術さん。



人んちで乱闘。
でもMACのみなさんも、もちろん火器も使いますがほとんど肉弾戦です。こんなわけわからない奴につかみかかって殴ろうとしたり蹴ろうとしたりするんです。僕はこれを勇気とは呼ばないと思うんですよね。



まんまと逃げおおせたプレッシャーは、しばらくすると巨大化。意味もなく巨大化。
そして超能力で町を破壊します。



もちろん彼が何をしたいのかわからないんです。譲歩のしようもないんですよ。でもただ暴れる怪獣よりはアタマいいんです。こんな恐怖はないって。



MACは戦闘機で出撃しますが、敵は魔法使い。戦闘機はコントロールを失います。



この後どっかーん。ただ墜とされるよりずっと怖い。

敵がおおかた片づいたら、プレッシャーはますます意味のわからない行動を…



この状態でくるくる回り出すんです。うわーもう、何してるんだよこの人!
そう。回ったからと言って穴が空くわけでもあたりが異次元に巻き込まれるわけでも何でもありません。彼が回ることによる人類への不利益は何一つとしてないんです。でも今すぐにやめて欲しいですよねこんなこと。

こんなわけわからない恐怖を振りまく迷惑野郎を駆逐するべく、われらがウルトラマンレオが飛来します。



ちょっとわかりにくいかもしれませんが、レオは出現するなりまずプレッシャーの杖を奪います。でも、杖がない状態で、空中でプレッシャーはくるくる回り続けてるんです。
わー、杖の意味わかんないしビジュアル的に怖すぎるよ!



しばらくレオは粘るんですが、プレッシャーの怪光線によってレオは小さくされてしまいます。んなことできるんなら普通に戦おうよ!なんでそんな意味のわからないことをするんだよ!?怖いよもう!



プレッシャーは突然風船をふくらませます。何が始まるんだよもういいよ!



そしたらプレッシャーは小さくなったレオを風船の中へ。そのまま中に放り投げて消えました。
だったらトドメ刺した方がまだ後味いいよ!



今度は生き延びたレオが意味のわからない行動を。



何をしているんだよ!

この後レオは、初めからそうすればいいのに空を飛んでMAC基地に行ってしまいます。

だから何をしているんだよ!

隊長は変身能力を失ったウルトラセブンなのですが、隊長の、「お前は2分30秒しか変身できないはずだが?」の問いに、「小さくされた分だけ、長くいられるらしいんです」だって。なんだそれは。さっきの一寸法師のコマを撮りたいだけじゃないか。



再び意味もなく暴れるプレッシャーを前に、居ても立ってもいられなくなったレオ。右は隊長。



それから突然、初登場のウルトラマンキング。
彼は、ウルトラの星や他の星でも、どこかにいると言い伝えられながらどこにいるのかわからなかった伝説の戦士です。
そんな戦士を出すために用意されたお話として、この話はどうなのか?



キングは小さくなったレオを救うために…。
一寸法師のエピソードを踏襲するためだけに新キャラ出しちゃったってことなのかよ!



そしてプレッシャーを二人で仲良く倒します。
んー、これはどうなんだろう実際。



と、これでおしまいです。
途中からレオと、一寸法師が撮りたくてたまらない制作者サイドの奇行のおかげで話がそれてしまったのですが、僕がお伝えしたかったことは、怪獣人プレッシャーの怖さ、意味がわからないことの言いようのない恐ろしさなんです。
地球征服とか食糧の確保とか、ムシャクシャするんだ!とか、言ってくれればまだ救われるんですが、ただ笑いながら人間サイズで走り回る宇宙人の怖さをなんだか伝えたかったんです。
どうでもいいんですけどね、衝動的にね。

次回からも、どうでもいいマニアックなお話を、マニア以外の方にも軽い気持ちで楽しんでいただけるようやっていきます。
どうぞよろしくお願いします。



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